シクラメンの害虫
シクラメンを育てていると、葉や花に異変が見られることがあります
病気でも管理が悪いわけでもない場合、考えられるのはやはり害虫です。
シクラメンにつきやすい害虫をあらかじめ知っておくと、
見つけた時に慌てずに対処できます。
シクラメン アブラムシ
モモアカアブラムシは、シクラメンを好みます
アブラムシは、さまざまな植物につく害虫ですが、
シクラメンにもつくことがあります。
アブラムシと聞くと、黄緑色の小さな虫をイメージする人かと思いますが、
実はアブラムシにもたくさんの種類があります。
シクラメンにつくアブラムシの特徴や発生しやすい時期、
対処法をご紹介していきます。
シクラメン ヨトウムシ
ヨトウムシ、生長すると5~6㎝にもなり大食いです!
ヨトウムシは、シクラメン以外の、
花、野菜につく害虫として、よく知られています。
ヨトウムシは、ハスモンヨトウやロシタヨトウなどの蛾を総称したものです。
シクラメンを食害するのは、ヨトウムシの幼虫です。
最初は小さな幼虫も、生長すると5~6㎝になり、食べる量も増えていきます。
状況によっては大打撃をうけるので、対処法などを覚えておきましょう。
シクラメン ナメクジ
ナメクジはさまざまな植物を食害し、被害の大きい害虫の1つです
シクラメンも環境によっては被害が多いので、注意します。
シクラメンの花や葉をナメクジに食べられてしまわないよう、
予防法、駆除方法など対策をご紹介します。
シクラメン 萎凋病
葉が、黄色みがかり広がっていくときは、要注意です
シクラメンを育てるうえで、注意したい病気の1つに、
萎凋病(いちょうびょう、フザリウム)があります。
萎凋病にかかっても、すぐには目立った症状が見られないため、
気付くのが遅れてしまうことがあるので、要注意です。
萎凋病の症状や発生時期、原因を知っておくと、未然に防ぐことができます。
[シクラメン 萎凋病]
■症状と発生時期
萎凋病の目だった症状は、まず葉に出てきます。
葉の色が黄色く変化します。
黄色い部分が少しずつ広がり、黄変する葉も増えます。
最初のうちは、株の片側に症状が集中することが多いのも特徴の1つです。
その後、だんだんと葉が萎れ、最終的には葉が枯れてしまいます。
萎凋病の原因となる菌は、シクラメンの根にできた傷から侵入し、内部を侵します。
そのため、葉が萎れる症状が出始めた時には、
葉が腐ったようになるのではなく、水切れのように萎れて枯れていきます。
萎凋病にかかったシクラメンの塊茎を切断してみると、
塊茎の中に茶色や赤っぽい色に変色した部分が見つかります。
これは塊茎内部にある維管束が壊死しているため、変色しているのです。
萎凋病の原因になる菌は、高温多湿の環境を好みます。
そのため、発生が多くなるのは、梅雨時期や残暑の残る秋口の長雨の時期です。
ただ、高温多湿の環境であれば、季節を問わずに感染する危険性があります。
■原因
萎凋病の原因菌は、土の中に潜んでいます。
どこかから萎凋病の原因菌であるフザリウム菌の胞子が土の中に入り込み、
土の中に潜むようになります。
菌が潜んでいる土にシクラメンを植え付けると、
根にできた小さな傷から菌が侵入し、症状があらわれるようになります。
根に傷ができるのは、植え替えや植え付け時はもちろんですが、
過湿や肥料焼けなどでも、根に傷がつきます。
雨の多い季節はもちろん、水のやりすぎや、
水はけの悪い土で育てていることも、過湿の原因となるので注意します。
シクラメンの植え替えのときは、清潔な新しい用土に植えます
■予防・対処法
萎凋病は、かかってしまうと治癒の難しい病気です。
まずは萎凋病にかからないよう、予防しておくことが大切です。
・過湿にしない
シクラメンは過湿によって根を傷めることがあります。
土は水はけの良いものを使うのはもちろん、
まだ湿っているうちに水を与えないように注意します。
底面給水鉢の場合は、鉢皿の水がなくならないように管理しますが、
普通鉢の場合は、鉢皿に残った水はすぐに捨てるようにします。
・湿気に注意する
水やりなどの過湿だけでなく、空気がこもった環境や、暑すぎる環境も、
根傷みで病気を引き起こします。
夏場は風通しの良い涼しい場所に置き、生育期も風通しを確保しておきます。
・清潔な用土で
シクラメンを植え替えたり、植え付けたりする時に使う土は、
必ず新しい清潔なものを使うようにします。
すでに土の中に菌が存在している土と、
そうでない清潔な土では、感染する可能性がまったく違います。
・肥料濃度を適切に
シクラメンは生育中、肥料切れしないように追肥しますが、与えすぎには注意します。
もし追肥し忘れたとしても、次に追肥をする時に、
大量に置き肥をしたり、液体肥料の濃度を高くしてはいけません。
1回に与える量や濃度は、必ず一定にしておきます。
また、土を自分で配合して植え付けをする時、
入れる元肥が根に直接触れないようにしておきます。
肥料が根に触れてしまうと、根が急激に水分を吸われてしまい、傷みます。
・薬剤散布
予防するための薬剤は、ベノミル剤が使えます。
植え替え・植え付けをした時に、土中に潅注しておきます。
また、発生の多くなる時期にも、月に1回潅注しておくのがお勧めです。
◎感染したら
もし萎凋病に感染した株が出た場合は、残念ですがすぐに処分します。
そのままにしておくと、何かのきっかけで他の株の鉢土に菌が入り込む可能性があります。
感染株の植えてあった土には、萎凋病の原因となる菌のたまり場になっています。
感染株を処分する時は、必ず植えた土も一緒に処分するようにしましょう。
■参考
・シクラメン 育て方 温度は?
・シクラメン 室内の育て方は?
・シクラメンの育て方
・ガーデンシクラメンの育て方
◎ガーデンシクラメン 寄せ植え
シクラメン 軟腐病
軟腐病と思われるシクラメンの株
軟腐病(なんぷびょう)は、様々な植物がかかる病気の1つですが、
シクラメンも例外ではありません。
軟腐病と見てわかるほどに症状が出る頃には、
病気が進行してしまい、手遅れになることも少なくありません。
シクラメンが、軟腐病に合わないように、しっかりと管理してあげましょう。
[シクラメン 軟腐病]
■症状と発生時期
軟腐病は高温多湿の環境で起こることが多いため、
梅雨時期から残暑がなくなるまで、発生しやすくなります。
特に水切れもしていないのに、葉や花が茎から萎れてしまうことがあります。
また、葉柄がぬるぬるしてきたり、塊茎が腐って異臭を放つこともあります。
葉の色が抜けたように、明るい黄色に変色したり、
症状が進むと、塊茎から白い粘液が漏れてくることがあります。
葉の変色や塊茎の腐敗など、見てすぐに軟腐病と分かる症状が出ているものは、
薬剤による治療もかなり難しく、ほとんどは枯れてしまいます。
軟腐病以外にも、シクラメンの塊茎が傷んだり、変色したりする病気はあります。
けれど、腐敗臭のする症状が見られるのは、軟腐病の特徴です。
■原因
軟腐病は、土からの感染が多い病気です。
根や葉などにできた傷口から感染したり、
水やりの際に葉の裏にある気孔から感染することもあります。
日光に当て、風通しが良いところで元気に育てるのが基本です
■予防・対処法
軟腐病は感染してしまうと、
気付いた時には薬剤でも治癒が難しくなっている場合があります。
まずは軟腐病にかからないよう、対策をしておいた方が良いでしょう。
もし軟腐病にかかっても、
ごく初期の状態であれば、薬剤による治癒が可能な場合があります。
・水はけの良い用土を使う
シクラメンを育てる時、水はけの良い土を使うことは、
軟腐病だけでなく、他の病気を予防することにもつながります。
最初は水はけが良かった土も、何年も植え替えずに植えたままにしておくと、
だんだん水はけが悪くなってきます。
土はいつまでも同じ状態を保つことはできません。
年月が経つにつれ、団粒構造をとっていたものがつぶれて微塵となり、
その微塵となったものが水で流されて、鉢底に近い部分に溜まります。
微塵の溜まったところは水はけが極端に悪くなり、
結果として過湿を引き起こして根腐れや病気の原因となります。
シクラメンは衛生面、生育の良さから考えても、
毎年植え替えて、新しい水はけの良い土で育てるようにします。
・清潔な用土を使う
水はけの良い土と同様に、清潔な土ということも大切です。
古土を再生したものであっても、病原菌の有無は目には見えません。
何年も植えっぱなしにしている土など、もってのほかです。
植え替えの時には、どうしても少しは根に傷をつけてしまいます。
衛生面で不安な土では、植え替え時の傷により、病気の可能性が倍増します。
毎年植え替えるのはもちろん、できれば新しい清潔な土を使うようにすると、
さまざまな病気の感染の確率が低くなり、害虫もつきにくくなります。
花ガラ摘みは、晴れた日にすると良いです
・傷を最小限に抑える
軟腐病は傷口から感染することも多い病気です。
シクラメンを育てる中で、手入れのときに株に傷をつけることがあります。
例えば、古くなった葉や咲き終わった花を摘む時、茎の部分を塊茎から摘み取ります。
この時、摘み取った部分はどうしても小さな傷となります。
生育環境の良い株で、午前中に作業を終えたものであれば、
その日のうちに傷口が乾燥するので、感染の心配はほとんどありません。
けれど湿気が高く、いつまでも傷口が乾かずにいると、感染の可能性が高くなります。
他にも、害虫によってつけられた傷も、感染経路となります。
過湿による根傷みも、侵入口となるので注意が必要です。
風通しの良い環境に置き、過湿にならないよう、水管理を徹底します。
また、害虫による被害を受けないよう、防除しておくのも効果的です。
・株周りを清潔に
枯れてしまった葉や、咲き終わった花をそのまま放っておくと、
株の周りがだんだん汚れてきます。
枯れ葉や花をそのまま放っておくと、風通しが悪くなる上に、
水やりをした時に水が溜まる場所となり、過湿やカビなどの原因となります。
枯れてきた葉や花は、適宜摘み取るようにし、株の周りは常に清潔に保ちます。
バイオキーパー水和剤
◎薬剤による予防
感染前であれば、ストレプトマイシンやドーマイシン水和剤、
バイオキーパー水和剤などを、株全体に散布しておくようにします。
◎薬剤による治療
ごく初期の状態であれば、
バイオキーパー水和剤を散布することで回復に向かうこともあります。
バイオキーパー水和剤は、予防や初期治療が難しいとされている軟腐病に対し、
生きた微生物を使って抵抗させる薬剤です。
生の菌を使うため、一般的な化学合成の薬剤とも少し異なりますが、
使い方としては、1000倍液を作って散布するだけと、一般的な薬剤と同じです。
中身が微生物なので、添加剤が不要で、雨や水の影響も受けにくいのが特徴です。
ただし、この薬剤の最大の特徴である生の菌を使用しているため、
開封した後に保存するのが難しく、開封後はすぐに使い切る必要があります。
■参考
・シクラメン 育て方 温度は?
・シクラメン 室内の育て方は?
・シクラメンの育て方
・ガーデンシクラメンの育て方
◎ガーデンシクラメン 寄せ植え
シクラメン モザイク病
調子の悪い株は元気な株から離しておき、病状が出たらすぐに処分します
シクラメンがかかると厄介な病気に、モザイク病があります。
モザイク病は、ウィルスが原因でかかる病気で、
シクラメン特有の病気ではなく、多くの種類の植物がかかる病気です。
モザイク病にかかってしまうと、薬剤を使っても治癒できないため、
まず予防しておくことが重要なので、わかりやすくご紹介していきます。
シクラメン 炭疽病
炭疽病と思われるクリスマスローズ
炭疽病は、シクラメンがかかる、とても厄介な病気です。
気づいた時には手遅れの場合もあり、そうでなくても回復に時間がかかったり、
極端に株が弱ってしまうこともあります。
まずは炭疽病の症状を知り、症状を見つけた時は、すぐに対処するようにしましょう。
シクラメン 灰色カビ病
調子のおかしい株を見つけたら、ほかの株から離します
灰色カビ病(ボトリチス病)は、シクラメンがかかりやすい病気の1つです。
この病気で、大切なシクラメンを枯らしてしまったということも、少なくありません。
シクラメンの灰色カビ病のことを良く理解し、
かかっているのを見つけたら、すぐに対処しましょう。
シクラメン うどんこ病
シクラメンが、うどんこ病にかかることがあります
他の植物がうどんこ病にかかった時とは、
少し症状が異なることがあるので、注意して観察します。
シクラメンのうどんこ病の症状と原因、対処をご紹介していきます。