シクラメン 軟腐病
軟腐病と思われるシクラメンの株
軟腐病(なんぷびょう)は、様々な植物がかかる病気の1つですが、
シクラメンも例外ではありません。
軟腐病と見てわかるほどに症状が出る頃には、
病気が進行してしまい、手遅れになることも少なくありません。
シクラメンが、軟腐病に合わないように、しっかりと管理してあげましょう。
[シクラメン 軟腐病]
■症状と発生時期
軟腐病は高温多湿の環境で起こることが多いため、
梅雨時期から残暑がなくなるまで、発生しやすくなります。
特に水切れもしていないのに、葉や花が茎から萎れてしまうことがあります。
また、葉柄がぬるぬるしてきたり、塊茎が腐って異臭を放つこともあります。
葉の色が抜けたように、明るい黄色に変色したり、
症状が進むと、塊茎から白い粘液が漏れてくることがあります。
葉の変色や塊茎の腐敗など、見てすぐに軟腐病と分かる症状が出ているものは、
薬剤による治療もかなり難しく、ほとんどは枯れてしまいます。
軟腐病以外にも、シクラメンの塊茎が傷んだり、変色したりする病気はあります。
けれど、腐敗臭のする症状が見られるのは、軟腐病の特徴です。
■原因
軟腐病は、土からの感染が多い病気です。
根や葉などにできた傷口から感染したり、
水やりの際に葉の裏にある気孔から感染することもあります。
日光に当て、風通しが良いところで元気に育てるのが基本です
■予防・対処法
軟腐病は感染してしまうと、
気付いた時には薬剤でも治癒が難しくなっている場合があります。
まずは軟腐病にかからないよう、対策をしておいた方が良いでしょう。
もし軟腐病にかかっても、
ごく初期の状態であれば、薬剤による治癒が可能な場合があります。
・水はけの良い用土を使う
シクラメンを育てる時、水はけの良い土を使うことは、
軟腐病だけでなく、他の病気を予防することにもつながります。
最初は水はけが良かった土も、何年も植え替えずに植えたままにしておくと、
だんだん水はけが悪くなってきます。
土はいつまでも同じ状態を保つことはできません。
年月が経つにつれ、団粒構造をとっていたものがつぶれて微塵となり、
その微塵となったものが水で流されて、鉢底に近い部分に溜まります。
微塵の溜まったところは水はけが極端に悪くなり、
結果として過湿を引き起こして根腐れや病気の原因となります。
シクラメンは衛生面、生育の良さから考えても、
毎年植え替えて、新しい水はけの良い土で育てるようにします。
・清潔な用土を使う
水はけの良い土と同様に、清潔な土ということも大切です。
古土を再生したものであっても、病原菌の有無は目には見えません。
何年も植えっぱなしにしている土など、もってのほかです。
植え替えの時には、どうしても少しは根に傷をつけてしまいます。
衛生面で不安な土では、植え替え時の傷により、病気の可能性が倍増します。
毎年植え替えるのはもちろん、できれば新しい清潔な土を使うようにすると、
さまざまな病気の感染の確率が低くなり、害虫もつきにくくなります。
花ガラ摘みは、晴れた日にすると良いです
・傷を最小限に抑える
軟腐病は傷口から感染することも多い病気です。
シクラメンを育てる中で、手入れのときに株に傷をつけることがあります。
例えば、古くなった葉や咲き終わった花を摘む時、茎の部分を塊茎から摘み取ります。
この時、摘み取った部分はどうしても小さな傷となります。
生育環境の良い株で、午前中に作業を終えたものであれば、
その日のうちに傷口が乾燥するので、感染の心配はほとんどありません。
けれど湿気が高く、いつまでも傷口が乾かずにいると、感染の可能性が高くなります。
他にも、害虫によってつけられた傷も、感染経路となります。
過湿による根傷みも、侵入口となるので注意が必要です。
風通しの良い環境に置き、過湿にならないよう、水管理を徹底します。
また、害虫による被害を受けないよう、防除しておくのも効果的です。
・株周りを清潔に
枯れてしまった葉や、咲き終わった花をそのまま放っておくと、
株の周りがだんだん汚れてきます。
枯れ葉や花をそのまま放っておくと、風通しが悪くなる上に、
水やりをした時に水が溜まる場所となり、過湿やカビなどの原因となります。
枯れてきた葉や花は、適宜摘み取るようにし、株の周りは常に清潔に保ちます。
バイオキーパー水和剤
◎薬剤による予防
感染前であれば、ストレプトマイシンやドーマイシン水和剤、
バイオキーパー水和剤などを、株全体に散布しておくようにします。
◎薬剤による治療
ごく初期の状態であれば、
バイオキーパー水和剤を散布することで回復に向かうこともあります。
バイオキーパー水和剤は、予防や初期治療が難しいとされている軟腐病に対し、
生きた微生物を使って抵抗させる薬剤です。
生の菌を使うため、一般的な化学合成の薬剤とも少し異なりますが、
使い方としては、1000倍液を作って散布するだけと、一般的な薬剤と同じです。
中身が微生物なので、添加剤が不要で、雨や水の影響も受けにくいのが特徴です。
ただし、この薬剤の最大の特徴である生の菌を使用しているため、
開封した後に保存するのが難しく、開封後はすぐに使い切る必要があります。
■参考
・シクラメン 育て方 温度は?
・シクラメン 室内の育て方は?
・シクラメンの育て方
・ガーデンシクラメンの育て方
◎ガーデンシクラメン 寄せ植え