原種シクラメンの育て方
■原種シクラメン 栽培スケジュール
・春咲き
■原種シクラメン 栽培データ
英名・学名 cyclamen・cyclamen
形態 多年草
原産地 地中海沿岸、小アジア、ロシア南部
草丈/樹高 5cm~15cm
開花期 春咲き:3月~4月 秋咲き:8月中旬~12月 冬咲き:12月~3月
花色 白、赤、ピンク、紫、複色
栽培難易度(1~5) 2
耐寒性 強い~やや弱い
耐暑性 強い~弱い
特性・用途 花期が長い、品種により花期や特性が違う
原種シクラメンは、名前の通り、
品種改良されていない原種のシクラメンです。
原産は地中海沿岸やトルコ、メキシコ、アフリカと、
意外と広い範囲で生息しています。
原産地が違えば、同じ原種シクラメンでも性質が異なってきます。
性質が異なれば、育て方も多少は違いが出ます。
原種シクラメンも、シクラメンやガーデンシクラメンのように、
「生育期」と「休眠期」が存在します。
生育期と休眠期のサイクルは、時期が少しずれることはあっても、
それぞれの管理方法としては、品種が違ってもあまり差がありません。
どのような品種の原種シクラメンを育てるとしても、
生育期と休眠期の基本的な育て方を覚えておくと、栽培しやすくなります。
ヘデリフォリウムと思われる花
[原種シクラメンの育て方]
■原種シクラメンの育て方
・品種を選ぶ
原種シクラメンには、春咲き・秋咲き・冬咲きの品種があります。
中でも、日本では秋咲きの「ヘデリフォリウム」や春咲きの「コウム」が、
比較的手に入りやすく、管理が難しくない品種とされています。
他には、シリシアム・インタミナタムなどが育てやすいのでおすすめです。
原種シクラメンの中には、花が咲いた後に葉が出るものや、
葉と花が一緒に出るものがあります。
ガーデンシクラメンなどは葉と花が一緒に出るタイプなので、
花だけが先に出るタイプの原種を初めて見ると、驚くことも多いでしょう。
どのような品種を育てるにしても、品種によって性質が違うので、
育てたい品種のことをよく調べておきましょう。
育てる原種シクラメンの性質を知っておくことが、
栽培の失敗を減らすことにもつながります。
・苗を選ぶ場合
ホームセンターなどで取り扱っていることがあまりないので、
購入する時はインターネットを使うと便利です。
ここのお店の苗なら信頼できるというお店を見つけておくと、
どのような植物を購入する時でも安心で便利です。
もし店頭で見かけたものを購入する場合は、
いくつかの注意点をクリアしたものにしましょう。
◎原種シクラメン 良い苗の選び方
1.葉の枚数が多く大きさがそろっている
2.花、蕾が多く球根にも新しい蕾が多数ついている
3.球根や葉が黄ばんでいたりカビが生えていない
4.葉や花に変色や変形がない
5.品種が明記されている
・植え場所(栽培環境)
原種シクラメンは、品種によって耐寒性と耐暑性に差があります。
コウムやヘデリフォリウムであれば、耐寒性も耐暑性もやや高いので、
地植えでの栽培が可能になります。
地植えにする場合は、開花時期によく日があたり、
休眠時期には半日陰~明るい日陰くらいになる場所がおすすめです。
どの時期も、風通しが良い方が病気や害虫の発生が少なくなります。
ただし、強風の吹く場所は、葉が傷み花茎が折れることがあるので、
避けるようにしましょう。
地植えか鉢植えか迷っているのであれば、
やはり鉢植えの方がおすすめです。
年間を通して、原種シクラメンの好む環境を、
地植えでは作ることができない場合でも、
鉢植えなら好む環境に移動させることができるからです。
・植え付け場所の準備
◎地植えの場合
原種シクラメンのほとんどは、水はけの良い土を好みます。
地植えにする時は、植え付ける場所を深さ20cmくらい掘り上げて、
よく耕しておきます。
その場所の水はけが悪い場合は、
赤玉土や鹿沼土などを加えて調整しておきましょう。
緩効性の化成肥料を、元肥として少量混ぜておきます。
原種シクラメンコウム、生長点が用土に埋まる程度に植え付けます
◎鉢植えの場合
鉢を選ぶ時は、深すぎず浅すぎない普通のタイプにします。
素材は素焼きや駄温鉢、プラ鉢などで問題ありません。
・植え付け、植え替え
植え付けや植え替えは、休眠期のうちか、
葉芽や花芽が動き出し始めた頃が適期です。
深植えにならないように注意しますが、極端に浅くする必要はありません。
品種によって球根をどれくらい埋めるかが違ってきます。
植え付けの深さが分からない場合は、
球根の頭がギリギリ埋まる状態にしておきましょう。
鉢植えの場合は、球根の直径の2倍の直径の鉢に植え付けるようにします。
地植え、鉢植えともに、根はあまり傷めないように注意しましょう。
鉢植えの場合、何年かすると根がいっぱいになって、
生育不良を起こすことがあります。
1年~2年に1回くらいのペースで植え替えてあげましょう。
このらせんに、惚れてしまいました♪
・水やり
生育期は、土の表面が乾いたら、たっぷりと与えます。
鉢植えの場合は、鉢の底から水が出てくるまでしっかりと与えます。
鉢皿に乗せているのであれば、鉢皿に残った余分な水は、
その都度捨てるようにしましょう。
鉢皿に水を残しておくと、過湿の原因になります。
休眠期は、葉がない状態になった場合も、時々水を与えるようにしましょう。
水を与える時は、生育期のようにたっぷりは与えず、
表面が湿る程度でも十分です。
環境によって、休眠期なのに葉が残ることがあります。
その場合は、生育期と同じように、土の表面が乾いたら水を与えます。
ただし、過湿にならないよう、くれぐれも注意しましょう。
・追肥
肥料は、ごく少量与える程度で大丈夫です。
生育期に、1か月~2か月に1回、緩効性の固形肥料を与えるか、
10日~2週間に1回、液体肥料を与えるようにします。
肥料を多肥にしない程度に多めに与えても、元気に育つことはあります。
球根も大きく肥るため、一見すると良さそうに見えますが、
休眠期に入った時に、球根が傷みやすくなるため、おすすめはできません。
休眠期は、葉があってもなくても、追肥をする必要はありません。
・花ガラ摘み
花期の間、花が傷んできたら花ガラを摘みましょう。
花ガラを摘むことで、見た目を美しく保つことができ、
病気の発生を防ぐことができます。
*こちらの中程に花ガラ摘みのやり方の画像と説明があります。
・種採り
種で増やすことができます。
花が咲いている時に、指で軽くはじくように刺激を与えると、
受粉して種ができることがあります。
花が咲き終わったあと、花の付け根が丸く大きく膨らみ、
花茎がくるくると巻いていきます。
花茎がくるくると巻いているものは、種ができています。
実が裂けたら、中に種があるので、それを取って土に播きます。
光を嫌うので、覆土して明るい日陰で管理するようにしましょう。
■病害虫
過湿により、球根が腐ったり、カビが生えたようになることがあります。
植え付ける時には、必ず水はけの良い、清潔な用土を使いましょう。
時々、アブラムシがつくことがあります。
数が少ないうちに、粘着テープなどで捕殺するようにしましょう。
■原種シクラメン 育て方のコツ
1.品種ごとの性質を理解し合った育て方をします
2.水はけの良い清潔な用土に植え付けます
3.生育期と休眠期の水やりに気遣います。
■参考
・原種シクラメンの蕾が! ←栽培記録
・シクラメン コウムの育て方
・シクラメン ヘデリフォリウムの育て方
[原種シクラメン] ブログ村キーワード
シクラメン ヘデリフォリウムの育て方
秋咲きのヘデリフォリウム
■原種シクラメン ヘデリフォリウム 栽培スケジュール
・秋咲き
■原種シクラメン ヘデリフォリウム 栽培データ
学名 cyclamen hederifolium
形態 多年草
原産地 フランス、イタリア、ギリシャなどヨーロッパの広範囲
草丈/樹高 5cm~15cm
開花期 9月~11月中旬
花色 白、薄いピンク、濃いピンク
香り なし(まれに香る個体がある)
栽培難易度(1~5) 2
耐寒性 強い
耐暑性 強い
耐乾性 強い(やや乾燥を好む)
特性・用途 鉢植え・庭植えが可能、葉の観賞価値が高い、半日陰を好む
■シクラメン ヘデリフォリウムの育て方
・ヘデリフォリウムの特徴
ヘデリフォリウムとは、ヘデラ(アイビー)を意味しています。
その名の通り、ヘデリフォリウムの葉はヘデラとよく似ています。
コウムと同様に、日本でも育てやすい原種シクラメンとして人気が高く、
園芸店やネット通販でも手に入れやすい品種です。
夏が過ぎ、少し涼しくなってくる頃に、葉よりも先に花茎が上がり、花を咲かせます。
その後、だんだんと気温が下がってくるにつれ、後から葉が展開します。
そのため、最初は花だけが立ちあがり、途中から葉が増えて、
葉と花の両方を楽しむことができるようになります。
とても長生きをする種で、150年も生きた株があったという記述が残っています。
日本でも、直径が40cmにもなる40年生があるとのことです。
塊茎は表面がコルク状になっていて硬いため、乾燥には強い性質があります。
どちらかというと、乾燥気味の環境を好みます。
年数の若い株は、全体的に丸い形をしていますが、
10年を越えるようになると、楕円形に変わり、中央がやや凹みます。
日当たりの加減に気をつけます
・植え場所(栽培環境)
原産地では、落葉樹の下などに植えられることが多いようです。
夏の強い直射日光は苦手ですが、ある程度の日照は必要になります。
生育期には日向~明るい半日陰(遮光率30%程度)、
休眠期は明るい半日陰(遮光率50%)程度の場所が適しています。
どうしても夏に日の当たる場所で楽しみたい場合は、
鉢植えにして生育期と休眠期とで置き場所を変えると、失敗が少なくなります。
・植え付け・植え替え
植え付けも植え替えも、休眠期である7月~8月頃に行うようにします。
乾燥気味の環境を好むので、土は水はけが良い状態にしておきます。
地植えの場合は、20cmほど掘り上げて土を耕し、
水はけが悪い場合は、シクラメン用の培養土などを入れて調整します。
鉢植えの場合は、鉢の底に必ず鉢底石を入れ、
シクラメン用の培養土を使って植え付けます。
鉢底石を入れることで水はけがよくなり、
塊茎や根が腐ったり傷んだりするのを防ぐことができます。
植え付ける時は、塊茎が隠れる程度に土をかぶせるようにします。
塊茎が隠れる程度に土をかぶせます
一般的なシクラメンでは、土から塊茎が少し出るように植え付けますが、
ヘデリフォリウムの場合は違うので注意しましょう。
ヘデリフォリウムは、塊茎の下から根を出すのではなく、
塊茎の側面や肩のあたりから根を伸ばします。
そのため、塊茎が土に埋まっている状態でないと、根が乾燥してしまいます。
また、寒さには強い種ですが、寒冷地などで霜がおりる地域は要注意です。
霜が塊茎や根を押し上げてしまうことがあるため、少し深めに植え付けます。
深植えとまではいかずとも、少し深めに植え付けることで、
押し上げられて露出してしまうのを防ぐことができます。
鉢植えの場合は、何年も同じ鉢で育てていると、
塊茎も大きくなって根も増えるので、鉢が小さくなってしまいます。
だいたい1年~2年に1回、できれば毎年植え替えるようにすると安心です。
鉢のサイズは、塊茎の直径の2倍くらいのものを選ぶようにしましょう。
塊茎を土に埋める必要があるので、あまり浅い鉢は避けるようにします。
・水やり
生育期の間は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにします。
鉢植えの場合は、鉢の底から水が流れ出てくるまでしっかりと与えます。
地植えの場合も、土が乾燥していると感じたら、水を与えるようにします。
休眠中は、完全に水を切ってしまうか、10日に1回くらいのペースで与えるようにします。
初心者の方で、水やりの加減が難しい場合は、水を切ってしまう方がおすすめです。
原種系は、肥料は少な目でだいじょうぶです
・肥料
生育期の間は、2週間に1回くらいのペースで、
薄めに作った液体肥料を与えます。
休眠期の間は、追肥は不要です。
ただし、まだ若い株の場合、夏場も休眠しない場合があります。
その場合は、さらに薄めに作った液体肥料を与えるようにします。
・夏越し
6月頃になると、葉も花もなくなります。
その後は水を完全に切るか、時々与える程度にして夏を越させます。
置き場所としては、風通しがよくてできるだけ涼しい場所を選びましょう。
まだ若い株の場合、夏でも葉が残ることがあります。
その場合は、土が乾いたら水を与え、時々追肥をします。
風通しの良い場所を選び、明るい日陰で育てるようにしましょう。
地植えにしていて移動ができないなどで、どうしても直射日光に当たる時間が長くなる場合
は、遮光ネット(50%遮光)を使って明るい日陰を作ってあげましょう。
6月以降でも、梅雨に気温が一時的に下がると、花を咲かせることがあります。
花を咲かせたとしても、秋に咲く花の量が少し減る程度で、
極端に株が弱ることはないので、季節はずれの花を楽しみましょう。
梅雨に花を咲かせた株も、
梅雨が明けて気温が上がって暑くなれば、また休眠に入ります。
その後、秋にまた花が咲き始めます。
・増やし方
種で増やすのが簡単でおすすめです。
種の採取方法や種からの育て方は、一般的なシクラメンとほとんど同じです。
種から育てた場合、絶対に親と同じ葉や花が出るとは限りません。
特に葉の色や斑の入り方が違うことが多いです。
けれどそれも楽しみの1つではあります。
どうしても親と同じ性質の株を育てたい場合は、
定期的に種を採取して育て、株を選抜するようにしましょう。
■病害虫
気になる病害虫は特にありません。
■シクラメン ヘデリフォリウム 育て方のコツ
1.植え付ける時は、根が出ないように塊茎が埋まるようにします
2.乾燥に強く、湿気に弱いので、乾燥気味に管理します
3.休眠期は思い切って水を切った方が得策です
■参考
・原種シクラメンの蕾が! ←栽培記録
シクラメン プルプラセンスの育て方
プルプラセンス C)ペットエコ&ザガーデン楽天市場店
■原種シクラメン プルプラセンス 栽培データ
学名 cyclamen purpurascens
形態 多年草
原産地 ヨーロッパ(アルプス山脈周辺に広く分布)
草丈/樹高 10cm~15cm
開花期 6月下旬~10月上旬
花色 白、赤紫、薄紫
香り 強い(バラのようなフローラルの香り)
栽培難易度(1~5) 3
耐寒性 強い(-10度くらいまで)
耐暑性 やや弱い(真夏の強い日差しは避ける)
耐乾性 弱い
特性・用途 鉢植え・庭植えが可能、香りが楽しめる
原種シクラメン 庭植え
原種シクラメンは可憐で堅強な美しい花です
品種が多く、花や葉の形、色などが、さまざまでコレクターも多いです。
一般的なシクラメンと花期が異なり春や秋に咲く品種があるのも魅力的です。
そんな原種シクラメンを、庭で育ててみたい!
けれど難しそうと思ってはいませんか?
原種シクラメンも、品種を選んで適切な手入れをすれば、
庭植えで、じゅうぶん楽しむことができます。
原種シクラメン 芝生
こちらはロックガーデンですが、芝植えの雰囲気はこのような感じです
原種シクラメンの植栽の中でも、
意外性もあって楽しめるのが、芝生との組み合わせです。
芝生の中に原種シクラメンを植えるときのコツは何でしょうか?
また、どのような品種を選ぶと良いかをご案内します。
シクラメン コウムの育て方
育て始めると、愛着が増す原種シクラメン コウム
■原種シクラメン コウム 栽培スケジュール
・冬咲き
■原種シクラメン コウム 栽培データ
学名 cyclamen coum
形態 多年草
原産地 トルコ、ジョージア、イランなど
草丈/樹高 5cm~10cm
開花期 1月~3月
花色 白、薄いピンク、濃いピンク、紫
香り なし(まれに甘く粉っぽい香りがする)
栽培難易度(1~5) 2
耐寒性 強い
耐暑性 強い
耐乾性 やや弱い
特性・用途 鉢植え・庭植えが可能、葉の観賞価値がある
シクラメン ミラビレの育て方
・秋咲き
■原種シクラメン ミラビレ 栽培データ
学名 cyclamen mirabile
形態 多年草
原産地 トルコ南東部
草丈/樹高 5cm~15cm
開花期 9月~11月
花色 白、ピンク
香り 強い(ココナッツのような香り)
栽培難易度(1~5) 3
耐寒性 やや弱い(要霜よけ)
耐暑性 強い
耐乾性 やや強い(やや乾燥を好む)
特性・用途 香りを楽しめる、花付きが良い
シクラメン グラエカムの育て方
シクラメン グラエカム
学名 cyclamen graecum
形態 多年草
原産地 ギリシャ、トルコ南部
草丈/樹高 5cm~15cm
開花期 9月~10月
花色 白、薄いピンク、濃いピンク
香り 普通(甘く粉っぽい香り)
栽培難易度(1~5) 2
耐寒性 やや弱い(要霜よけ)
耐暑性 強い
耐乾性 強い(完全な乾燥を好む)
特性・用途 鉢植え、環境によっては庭植えも可能、葉の観賞価値が高い
■シクラメン グラエカムの育て方
・グラエカムの特徴
名前のグラエカムは、原産地であるギリシャを意味しています。
乾燥している地域に分布しているため、日本で育てる場合は湿気に注意が必要です。
原種シクラメンの中では、花が少し大きめです。
花びらはよく反り返り、すっきりとした印象です。
花弁の先端はとがっているというよりも角ばっているような形をしています。
花色の基本はピンクに口元が赤紫ですが、全体が真っ白なものもあります。
花弁の色のピンクには濃淡があり、個体差があり、
どのような花が咲くかは咲いてからのお楽しみとなります。
花弁には筋状の模様が入りますが、白花は目立ちません。
葉は10月下旬頃から展開が始まるため、開花中に徐々に葉が出てくることが多いです。
葉は丸っこいハート型をしていますが、グラエカムはとにかく葉の変異が多く、
場合によっては葉の形が少し尖ることもあります。
葉色は様々で、葉色だけでも濃いグリーン~シルバーまであり、
柄は無地もあればはっきりとラインの出るものまであるため、
本当にたくさんの葉模様があります。
塊茎は濃い赤茶色で、若いうちは丸い形をしていますが、
10年以上の株になると、少し楕円形になっていきます。
塊茎の表面は硬くコルク状をしているため、乾燥に耐えられるようになっています。
根は塊茎の下部中心から発生しますが、グラエカムは太い根を出すのが特徴です。
原種シクラメンの中でも、グラエカムは生長が早い方です。
肥料にも敏感なので、追肥の仕方によっては、どんどん大きく育ちます。
15年ほどの株では、塊茎の直径が30cmを越え、急に生育が悪くなる傾向があります。
・栽培環境
グラエカムは日向を好みます。
生育中は日当たりの良い場所で育てることで、
花や葉がたくさん伸び、締まった株に育てることができます。
日当たりの悪い場所で育てると、葉がやたらと大きくなってしまって良くありません。
原種シクラメンの中では珍しく、暑さにとても強いのが、グラシカムの特徴です。
用土が暑くなっても、最高で50度くらいまでは耐えられるというのですから、驚きです。
暑さに耐えられると分かれば、生育中に日当たりの良い場所に置いても不安はなくなります。
ただし、休眠中は日向ではなく、明るい日陰(遮光30%)くらいの場所が好ましいです。
直射に当てる必要はありませんが、特別涼しい場所に置いておく必要もないので、
置き場所に困りません。
むしろ暑い場所に置いて夏越しをさせた方が、次のシーズンの花数が増える傾向にあります。
休眠中に直射が当たらない場所であれば、暑い南側でも庭植えが可能です。
どうしても休眠中も日が当たってしまう場合は、
遮光ネット(50%)などを使って日差しを遮ってあげると良いでしょう。
この時、できれば落葉樹の下などに植えると、休眠中の雨も避けられるのでお勧めです。
暑さに強い反面、寒さには少し弱いです。
短時間であれば、氷点下になっても構いませんが、
長期間氷点下の環境が続くと、葉などが傷む原因となります。
庭植えであっても、鉢植えであっても、霜よけをしておいた方が良いでしょう。
鉢植えの場合は、軒下に置くことで簡単な霜よけとなります。
・植え付け・植え替え
植え付けや植え替えは、休眠中である6月下旬~8月がお勧めです。
グラエカムは完全に乾いた状態で夏越しをするので、植え替え後の水やりは必要ありません。
休眠中に水をかけてしまうと、早くに芽が動き始めてしまうため、徒長の原因となります。
また、過湿に弱いので、使う用土は水はけの良い清潔なものを選びましょう。
植え付けを行う時、必ず塊茎が土から半分出ている状態にします。
グラシカムの太い根は、養分や水分を吸収するだけでなく、
塊茎の高さを調節する機能がついています。
浅めに植え付けておくことで、徐々に塊茎の高さを調節し、
自分にとってちょうど良い高さまで埋まります。
深めに植え付けても調整しようとしますが、かなり時間がかかります。
調整に時間がかかっている間に、新芽を出す部分にフローラル・トランクと呼ばれる、
生長点が棒状に伸びてしまう現象が起きてしまいます。
フローラル・トランクができると、花付きが悪くなるので、
やはり深めに植え付けるのは避けた方が良いでしょう。
生育期間中のみ、露出した塊茎の上部が隠れるほど砂利に埋めるという方法があります。
通年そのままで管理しても良いですが、休眠中の乾燥を促すため、
休眠中は砂利を取り除いて、塊茎を露出させておくのもお勧めです。
ピンクも愛らしいです
・水やり
生育期間中は、用土が乾いたら水を与えます。
休眠中の水やりは必要ありません。
というより、水は与えないようにします。
できれば雨も当てない方が良いので、雨の当たらない場所に取り込むか、
雨除けをしてあげましょう。
・肥料
肥料を与えると大きくなりやすい性質がありますが、急いで大きくしない方が良いです。
というのも、急いで大きくしてしまうと、夏の休眠中に塊茎が腐りやすくなるのです。
せっかく大きく育てた株を、多肥にしたせいで腐らせては、後悔してもしきれません。
肥料は標準と同じように、1ヶ月に1回くらいのペースで緩効性肥料を与えるか、
7日~10日に1回のペースで液体肥料を水代わりに与えるようにしましょう。
・夏越し
夏に休眠した時は、水の当たらない場所に置き、塊茎を乾燥させておくのがポイントです。
生育が再開し、塊茎の上部に新芽が見え始めたら、
水を与えて通常と同じように管理を始めましょう。
・増やし方
グラエカムは種によって増やすことが可能です。
ただ、実生から育てると、花色も葉色や葉の柄も、半分くらいは違うものが出てきます。
それを楽しむのも1つですが、
親と同じような株姿を求めるのであれば、選抜する必要があります。
種の採取法や種まきの時期や方法などは、一般的なシクラメンと同じです。
■病害虫
気になる病害虫は特にありません。
■原種シクラメン グラエカム 育て方のコツ
1.生育中は日向で管理し、締まった株を作ります。
2.植え付ける時は、塊茎の半分が出るくらいの浅植えにします。
3.夏越し中は完全に乾燥させておきましょう。
■参考
シクラメン ペルシカムの育て方
■シクラメン ペルシカムの育て方
・ペルシカムの特徴
ペルシカムは、ヘデリフォリウムよりもさらに乾燥に強い品種です。
暖地のような霜の降りない場所であれば、庭植えにすることもできます。