シクラメン ヘデリフォリウムの育て方
秋咲きのヘデリフォリウム
■原種シクラメン ヘデリフォリウム 栽培スケジュール
・秋咲き
■原種シクラメン ヘデリフォリウム 栽培データ
学名 cyclamen hederifolium
形態 多年草
原産地 フランス、イタリア、ギリシャなどヨーロッパの広範囲
草丈/樹高 5cm~15cm
開花期 9月~11月中旬
花色 白、薄いピンク、濃いピンク
香り なし(まれに香る個体がある)
栽培難易度(1~5) 2
耐寒性 強い
耐暑性 強い
耐乾性 強い(やや乾燥を好む)
特性・用途 鉢植え・庭植えが可能、葉の観賞価値が高い、半日陰を好む
■シクラメン ヘデリフォリウムの育て方
・ヘデリフォリウムの特徴
ヘデリフォリウムとは、ヘデラ(アイビー)を意味しています。
その名の通り、ヘデリフォリウムの葉はヘデラとよく似ています。
コウムと同様に、日本でも育てやすい原種シクラメンとして人気が高く、
園芸店やネット通販でも手に入れやすい品種です。
夏が過ぎ、少し涼しくなってくる頃に、葉よりも先に花茎が上がり、花を咲かせます。
その後、だんだんと気温が下がってくるにつれ、後から葉が展開します。
そのため、最初は花だけが立ちあがり、途中から葉が増えて、
葉と花の両方を楽しむことができるようになります。
とても長生きをする種で、150年も生きた株があったという記述が残っています。
日本でも、直径が40cmにもなる40年生があるとのことです。
塊茎は表面がコルク状になっていて硬いため、乾燥には強い性質があります。
どちらかというと、乾燥気味の環境を好みます。
年数の若い株は、全体的に丸い形をしていますが、
10年を越えるようになると、楕円形に変わり、中央がやや凹みます。
日当たりの加減に気をつけます
・植え場所(栽培環境)
原産地では、落葉樹の下などに植えられることが多いようです。
夏の強い直射日光は苦手ですが、ある程度の日照は必要になります。
生育期には日向~明るい半日陰(遮光率30%程度)、
休眠期は明るい半日陰(遮光率50%)程度の場所が適しています。
どうしても夏に日の当たる場所で楽しみたい場合は、
鉢植えにして生育期と休眠期とで置き場所を変えると、失敗が少なくなります。
・植え付け・植え替え
植え付けも植え替えも、休眠期である7月~8月頃に行うようにします。
乾燥気味の環境を好むので、土は水はけが良い状態にしておきます。
地植えの場合は、20cmほど掘り上げて土を耕し、
水はけが悪い場合は、シクラメン用の培養土などを入れて調整します。
鉢植えの場合は、鉢の底に必ず鉢底石を入れ、
シクラメン用の培養土を使って植え付けます。
鉢底石を入れることで水はけがよくなり、
塊茎や根が腐ったり傷んだりするのを防ぐことができます。
植え付ける時は、塊茎が隠れる程度に土をかぶせるようにします。
塊茎が隠れる程度に土をかぶせます
一般的なシクラメンでは、土から塊茎が少し出るように植え付けますが、
ヘデリフォリウムの場合は違うので注意しましょう。
ヘデリフォリウムは、塊茎の下から根を出すのではなく、
塊茎の側面や肩のあたりから根を伸ばします。
そのため、塊茎が土に埋まっている状態でないと、根が乾燥してしまいます。
また、寒さには強い種ですが、寒冷地などで霜がおりる地域は要注意です。
霜が塊茎や根を押し上げてしまうことがあるため、少し深めに植え付けます。
深植えとまではいかずとも、少し深めに植え付けることで、
押し上げられて露出してしまうのを防ぐことができます。
鉢植えの場合は、何年も同じ鉢で育てていると、
塊茎も大きくなって根も増えるので、鉢が小さくなってしまいます。
だいたい1年~2年に1回、できれば毎年植え替えるようにすると安心です。
鉢のサイズは、塊茎の直径の2倍くらいのものを選ぶようにしましょう。
塊茎を土に埋める必要があるので、あまり浅い鉢は避けるようにします。
・水やり
生育期の間は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにします。
鉢植えの場合は、鉢の底から水が流れ出てくるまでしっかりと与えます。
地植えの場合も、土が乾燥していると感じたら、水を与えるようにします。
休眠中は、完全に水を切ってしまうか、10日に1回くらいのペースで与えるようにします。
初心者の方で、水やりの加減が難しい場合は、水を切ってしまう方がおすすめです。
原種系は、肥料は少な目でだいじょうぶです
・肥料
生育期の間は、2週間に1回くらいのペースで、
薄めに作った液体肥料を与えます。
休眠期の間は、追肥は不要です。
ただし、まだ若い株の場合、夏場も休眠しない場合があります。
その場合は、さらに薄めに作った液体肥料を与えるようにします。
・夏越し
6月頃になると、葉も花もなくなります。
その後は水を完全に切るか、時々与える程度にして夏を越させます。
置き場所としては、風通しがよくてできるだけ涼しい場所を選びましょう。
まだ若い株の場合、夏でも葉が残ることがあります。
その場合は、土が乾いたら水を与え、時々追肥をします。
風通しの良い場所を選び、明るい日陰で育てるようにしましょう。
地植えにしていて移動ができないなどで、どうしても直射日光に当たる時間が長くなる場合
は、遮光ネット(50%遮光)を使って明るい日陰を作ってあげましょう。
6月以降でも、梅雨に気温が一時的に下がると、花を咲かせることがあります。
花を咲かせたとしても、秋に咲く花の量が少し減る程度で、
極端に株が弱ることはないので、季節はずれの花を楽しみましょう。
梅雨に花を咲かせた株も、
梅雨が明けて気温が上がって暑くなれば、また休眠に入ります。
その後、秋にまた花が咲き始めます。
・増やし方
種で増やすのが簡単でおすすめです。
種の採取方法や種からの育て方は、一般的なシクラメンとほとんど同じです。
種から育てた場合、絶対に親と同じ葉や花が出るとは限りません。
特に葉の色や斑の入り方が違うことが多いです。
けれどそれも楽しみの1つではあります。
どうしても親と同じ性質の株を育てたい場合は、
定期的に種を採取して育て、株を選抜するようにしましょう。
■病害虫
気になる病害虫は特にありません。
■シクラメン ヘデリフォリウム 育て方のコツ
1.植え付ける時は、根が出ないように塊茎が埋まるようにします
2.乾燥に強く、湿気に弱いので、乾燥気味に管理します
3.休眠期は思い切って水を切った方が得策です
■参考
・原種シクラメンの蕾が! ←栽培記録