シクラメン 花が下向き
シクラメンは、秋になると鉢植えや苗が出回り始め、
冬の花の少ない時期を彩ってくれる、貴重な花です
とても人気が高く、毎年新品種が生まれるほどです。
けれど、そんなシクラメンの花を、じっくりと見たことがありますか。
シクラメンの花は、通常の植物の花とは、少し違った咲き方をしています。
シクラメンの花姿について、この機会に覚えておきましょう。
[シクラメン 花が下向き]
■シクラメンの花の形
シクラメンの花をじっと見てみると、あることに気づきます。
それは、実はシクラメンの花が、下向きに咲いているということです。
一般的な植物の花は、横向き、あるいは上向きに花が咲くことが多いです。
そのため、横や上から見た時に、キレイな花を観賞することができます。
シクラメンの花も、横や上から見ても、きちんとキレイに見えます。
これは、シクラメンの花の花びらが、上向きに反り返っているためです。
一般的な植物の花は、花の中心から放射状に花弁が開きます。
ところが、シクラメンの場合は、
花の中心から伸びる花びらが後ろ側に広がって、反り返っているのです。
そのため、下向きに咲いていても、上向きに花弁が上がり、
横や上部から見ても美しい花を楽しむことができます。
シクラメンの花を上から見た時、
あるべきはずの雌しべや雄しべが見えません。
それもそのはずで、シクラメンは下を向いて咲いているため、
雌しべや雄しべは、下から覗き込まないと見ることができないのです。
シクラメンは下向きに咲いて花弁が上向きに反り返るのが基本ですが、
品種により、横向きに咲いたり、花弁が反り返らないタイプもあります。
けれど、篝火花(かがりびばな)との呼ばれているシクラメンなので、
やはり上向きに花弁が反り返り、花が集まって咲く姿がしっくりときます。
アンジュ 花が下を向かないシクラメン C)園芸ネット
■シクラメン 花が下向きの理由
シクラメンの花は、なぜ下向きに咲いているのでしょうか?
下向きに咲いている理由はとても簡単です。
それは、シクラメンの自生地では、雨がよく降るからです。
雨がよく降る地域で上向きに花を咲かせると、
受粉してタネを作るための花粉が流れやすくなってしまいます。
それを防ぐため、シクラメンは下向きに咲いているといわれています。
シクラメンは球根植物なのに、タネで増えるの?
と疑問に思う方もいるでしょう。
シクラメンは、塊茎と呼ばれる部分に、水分や養分を溜めて生育します。
そのため、休眠期に地上部が枯れても、
また生育期に入った時には、新しい芽が動き出すことができるのです。
ただ、他の球根植物と違い、シクラメンは分球という行為をしません。
ユリやチューリップ、スイセンなどを育てたことがある方は、
花が終って球根を掘り上げると、球根の数が増えたという経験があるでしょう。
シクラメンは塊茎が割れて、新しい塊茎ができることはほぼありません。
そのため、増殖するにはタネが必要となるのです。
子孫を残すため、タネを作るために、
花粉が流れにくいように、花が下向きになったと言われています。
■参考
・シクラメン 育て方 温度は?
・シクラメン 室内の育て方は?
・シクラメンの育て方